■主なノーベル平和賞受賞者とその活動
1.アンリ・デュナン
1901年受賞。福祉活動に熱心な両親の元で育った、スイスの実業家。彼がイタリア統一戦争の負傷者を救済する活動に加わったことを契機に、戦争における敵見方の区別なく負傷者を救護する活動、つまり赤十字社の理念の原点が生まれたとされています。この活動をきっかけに、1863年にジュネーブで負傷兵救済国際委員会が結成され、国際赤十字社へと発展しました。彼自身は晩年は活動から身をひいて、ひっそりと暮らしていましたが、活動時期から40年の時を経て、第一回のノーベル平和賞を受賞しました。
2.キング牧師(マーチン・ルーサー・キング・ジュニア)
1964年受賞。アメリカ合衆国のプロテスタント牧師で、アフリカ系アメリカ人の公民権運動活動家。「I have a dream」の演説で知られ、アメリカにおける人権問題の象徴的人物。リンカーン大統領によって行われた奴隷解放宣言後も根強く続いていた、有色人種に対する制度的、精神的差別を撤廃するために、徹底した「非暴力主義」を貫いて闘いました。地道な運動の結果、世論を引き寄せ、1964年にアメリカ国会で公民権法が成立。アメリカ建国200年にして、はじめて制度上の人種差別撤廃が実現しました。その後は人権運動が暴力主義化するなど、彼の思想に対する反旗が目立ちはじめ、受賞から4年後、白人男性に暗殺されましたが、彼の功績は40年以上たった今でも、アメリカ史に刻まれる偉業として語り継がれています。
3.佐藤栄作
1974年受賞。2009年現在、日本人で唯一のノーベル平和賞受賞者。「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を宣言。日本の核兵器放棄の姿勢を内外に示し、その後の国際平和外交の在り方に大きな足跡を残したことが評価されました。戦後アメリカ統治下にあった沖縄の返還にも尽力。現時点で、歴代最多の首相4選を果たした、政界の実力者でもありました。平和賞受賞の賞金は、世界の平和と福祉に貢献する国連大学の発展のために寄付されました。
4.マザー・テレサ(アグネス・ゴンジャ・ボヤジュ)
1979年受賞。「飢えた人、裸の人、家のない人、必要とされることのない人、誰からも世話されることのない人…それらの人すべてのために働く」ことを信条として、「神の愛の宣教者会」を創設。自らが指導者となり先頭にたって貧者、弱者の救済にあたり、インド政府の協力を得て「死にゆく人の家」を設立。以降、次々とホスピスや養護施設を開設し、相手の宗派や状況を問わない活動施設に、全世界から共鳴の声と援助が集まるようになりました。高齢になってからも世界各国を廻り、貧しい人々や死の床にある人たちの救済を自らの身をもって続け、インドではその功績をたたえて、彼女の葬儀は、民間人では異例の国葬となりました。ノーベル平和賞を受賞したとき、「私は受賞に値する人間ではないが、世界の最も貧しい人々に代わってこの賞を受け取ります。この賞金でいくつのパンが買えるでしょうか」と語り感動を呼びました。ちなみに受賞晩餐会への出席は辞退。逝去したとき、彼女の手元にはほとんど財産と言えるものがなく、貧しく質素なサリーだけが残されたと言われています。ノーベル平和賞以外にも、受賞歴には枚挙にいとまがありません。
5.ダライ・ラマ14世
1989年受賞。チベット独立運動の活動家で、チベット亡命政府の長。1950年に中国政府が行った、チベット弾圧・併合に抵抗し、チベット亡命政府を樹立。チベットの自治権を訴え続けるとともに、全世界を訪問し、チベットの宗教、文化の理解促進や世界平和に対する啓発活動、宗教活動、精神活動などを勢力的に行ってきました。中国政府は、この受賞に関してはもちろん、ダライ・ラマ14世自身の存在に完全無視を決め込んできましたが、最近になって平和的な対話の動きがでてきています。